昨年の夏にできた「たいりん」は、2枚の型紙を使用しています。
注染てぬぐいは基本的に1枚の型紙で染められている事が多いと思うのですが「たいりん」のように2枚以上の型紙を使って染める場合もあって、細川染めという名前で呼ばれています。
1枚の型紙では出来ない表現を、2枚以上使うことで出来るようになったります。
「たいりん」の型紙の1枚目はこちらです(下)
上の画像は彫っている途中の段階で、まずは柄のパーツが離ればなれにならないように全てが繋がった状態に彫ってから、裏打ちをした(和紙を裏からくっ付けた)状態。
そこから型紙の要らない部分を切り落として下の状態になって、彫り上がりです。
裏打ちの和紙のおかげで、離れたパーツも固定されています。
シンプルで大きな形なので、1枚目は簡単に掘り上がりました。
この型紙は、薄い青紫色を水ぼかしで染める時に使用します。
離ればなれにならないために柄を繋いでいる部分をツリと呼ぶのですが、このツリの付け方が初めに教わった時と比べて、だんだん自己流になってきた気がします。
ツリの付け方も、特に細かい柄だと重要になってくると思うのですが、
注染はそこまで細かい柄は技法的に染められないので、最終的にデザイン通りにきれいに間違いなく彫れる事を目指して、自分でやりやすいように付けています。
2枚目の型紙の中心に向かって細くなっていくところが思っていた以上に大変だったので、彫る時とツリを落とす時と集中しました。
ツリもきれいに切り落とさないと、柄に影響が出てしまうところです。
無事にツリが落とせて、2枚目の型紙が彫り上がりました(下)
この後は両方とも漆による紗張りを職人さんに行っていただき、型紙は完成です。
この2枚目の型紙はメインの柄部分を染めるのに使用します。
染めは、青っぽい色と濃い紺の差し分けです。
出来上がった「たいりん」手ぬぐい。
ここをどうしても残したかったので、いろいろと考えました。
この柄では難しい事や新しい事にチャレンジができて、そしてきれいに染めてもらうことができて、本当によかったです。
注染って思い通りにならないことも多いのですが、やっぱり面白いし大好きです。